連載シリーズ「川島由起子のこれなら出来る食事療法」

 糖尿病食事療法のワンポイント(その14)

食事の量だけでなく、栄養素のバランスのとれた食事が大切であると聞きました。どのようにしたら、簡単に栄養素のバランスのとれた食事ができるでしょうか。

例えば、指示エネルギー1400キロカロリーの方が、ごはん(白米)だけで、1日1400キロカロリーにするには、男性用のお茶碗で5杯、ごはん約900gを摂取すればよいことになりますが、これは栄養素のバランスのとれた食事と言えるでしょうか?この場合、1400キロカロリーという「量」は守れていますが、栄養素のバランスという面からすると、白米に多く含まれている炭水化物に偏った食事となり、バランスのとれた食事とは言えません。

栄養素のバランスのとれた食事とは、三大栄養素と呼ばれる炭水化物(食物繊維を含む)、たんぱく質、脂質に加え、ビタミン、ミネラルなど私たちの身体に必要な栄養素を過不足なく摂取することができる食事です。

今回は、栄養素のバランスのとれた食事を簡単に用意する方法をお話しましょう。

1.血糖コントロールにおいて、栄養素のバランスのとれた食事の重要性とは?

栄養素のバランスのとれた食事は、糖尿病でない方にとっても大切ですが、糖尿病患者さんにとっては、特に三大栄養素のバランスと食物繊維の摂取量が血糖コントロールに影響を及ぼすという点で重要です。糖尿病診療ガイドラインでも、三大栄養素のバランスの重要性について述べています。

三大栄養素のバランスが崩れると血糖値にどのような影響を与えるのでしょうか。例えば、炭水化物の過剰摂取は、血糖値を上昇させます。しかし、だからといって、炭水化物の摂取量を減らして、指示エネルギー量を摂取しようとすると、脂質やたんぱく質の摂取量が増えてしまいます。特に、脂質の過剰摂取は、体重増加によるインスリン抵抗性の増加や脂質異常症を招く危険性を高めます。そのため、炭水化物、たんぱく質、脂質をバランスよく摂取することが大切です。
血糖コントロールにおける食物繊維摂取の重要性については、第10回でお話しましたので、そちらをご覧ください。

このようなことから、食事の量に加え、栄養素のバランスのとれた食事は、よりよい血糖コントロールに不可欠なのです。

2.栄養素のバランスのとれた食事をする簡単な方法とは?

「毎食3つの器+1日の中で適量の乳製品、果物、油〔脂質(油)を使った料理〕を摂ることを心がけると、栄養素のバランスのとれた食事をすることができます。

毎食そろえてほしい3つの器とは、「主食」、「主菜」、「副菜」の器です。

「主食」の器は、ごはんやパン、麺類などの穀物の器です。主食の器に豊富に含まれる栄養素や適量については、第12回をご覧ください。

「主菜」の器は、いわゆる大きなおかずで、魚介類や肉類、卵類、大豆製品を使った料理がこの器になります。第13回で適量など詳しくお話しています。

「副菜」の器は、野菜、きのこ、海藻、こんにゃくを使ったおかずになります。第10回をご覧ください。

そして、この3つの器に、適量の乳製品、果物、油〔脂質(油)を使った料理〕を摂取すると栄養素のバランスのとれた食事になります。果物と油を使った料理の適量については、それぞれ第6回11回をご覧下さい。

 

3.乳製品の適量とは?

乳製品は3つの器以外ですが、栄養素のバランスをとるには必要な食品のひとつです。乳製品は、糖尿病食品交換表では、たんぱく質を多く含む食品として表4に分類されていますが、炭水化物や脂質も比較的多く含まれています。そのため、水代わりに牛乳を1日に何杯も飲んだりすると、炭水化物や脂質の過剰摂取となり、体重や血糖値のコントロールを乱す危険性があります。日本糖尿病学会が推奨する乳製品の1日の適量を表に示しました。

食品名
1日の適量
普通牛乳
180ml
加工乳 低脂肪 240ml
加工乳 濃厚 150ml
ヨーグルト(脱脂加糖) 180g
ヨーグルト(脱脂無糖) 180g

ヨーグルトは加糖も無糖も1日180gが適量ですが、加糖のヨーグルトは砂糖を多量に含むのでできるだけ無糖のものを選ぶようにしましょう。

また、チーズの適量は?と思われた方がいるかもしれません。チーズは乳製品ですが、栄養学的にみると、主菜(大きなおかず)の仲間になり、プロセスチーズであれば1品量は20g、スライスチーズなら1枚となります(第13回参照)。

糖尿病食品交換表を使って食事療法をされている方は、この「毎食3つの器+1日の中で適量の乳製品と果物、油〔脂質(油)を使った料理〕」の方法を実践すると、糖尿病食品交換表の表1~表6全ての表から食品が摂取できることに気づかれることでしょう。すべての表から食品を適量摂取することが、よりよい血糖コントロールには大切なのです。

早速、次の食事で食卓に3つの器をそろえてみてください。