現在位置は
HOME
連載・お役立ち情報
糖尿病の正しい知識を持ちましょう
第14回
第14回「糖尿病の検査項目シリーズ⑤ グリコアルブミン」
グリコアルブミンという検査項目をご存知でしょうか。HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)と似たような項目ですが、案外知られていません。しかし日本赤十字社の献血に協力された方はご自分の値を検査してもらっている筈です。今回はグリコアルブミンについて取り上げます。
HbA1cを復習します
「糖尿病の正しい知識」シリーズでは以前にHbA1cを取り上げました。HbA1cは赤血球の中にあるヘモグロビン(酸素を運搬してくれる蛋白質です)に血糖が結合している割合を測る検査でした。ですからHbA1cの単位は%です。赤血球の寿命から考えて、HbA1cは最近2~3か月間の血糖の高低を反映していると考えられています。血糖が正常な人ではHbA1cは5%台前半以下です。これに対してHbA1cが10%であれば、その人の最近2~3カ月間の血糖は正常の2倍程度高いと判断できます。7.5%であれば1.5倍程度高いというわけです。すなわちHbA1cは自分の血糖状況を知ることが出来る検査です。血糖コントロールが良くなるとHbA1cは低下しますし、逆に悪化すると上昇します。それ故、世界中の糖尿病患者さんが自分の血糖コントロールの状態を把握するためにHbA1cを定期的に検査しています。
HbA1cと似たような検査です
血液中には様々な蛋白質が溶けています。その中で最も量の多いのが「アルブミン」という蛋白質です。アルブミンは肝臓で作られ、血液中に放出されています。アルブミンには様々な働きがあります。色々な物質を引っ付けて全身に運搬したり、むくみを起こさないようにしたりする働きもあります。そしてアルブミンはヘモグロビンと同じように血糖と結合する性質があります。これはアルブミンに含まれるリジン(L)というアミノ酸が血糖と結合しやすいからです。下図のように、アルブミン中には血糖と結合しやすいリジンが4つ含まれています。グリコアルブミンは血液中に含まれるアルブミンの中で、何%のアルブミンが血糖と結合しているのかを表わす検査です。例えば測定結果が20%とすると、全アルブミンの中の20%のアルブミンが血糖と結合しており、残り80%は結合していないアルブミンというわけです。血糖が高くなるほど、血糖と結合しているアルブミンの割合が増加しますから、グリコアルブミンも高くなります。アルブミンは作られてから3週間から1か月程度で壊されます。従って、グリコアルブミンは最近3週間から1か月程度の血糖の高低を反映しています。

献血した方はグリコアルブミンが測定されます
以前から日本赤十字社の献血に協力頂いた方には、サービスとして肝機能検査とコレステロールが測定されていました。これは肝臓病や高脂血症の早期発見に有用だからです。2009年からこれに加えてグリコアルブミンが追加されました。糖尿病の早期発見にも役立てて頂くためです。なぜHbA1cではなくてグリコアルブミンなのでしょうか。それは、HbA1cを測定するには専用の機械を使用するため、余分な血液が必要になりますが、グリコアルブミンは肝機能やコレステロールの測定と同時に同じ機械で検査することが可能で、余分な採血も不要だからです。そして下の表が結果の判定に用いられています。
グリコアルブミンの判定表
グリコアルブミン測定値 |
判定 |
15.6%未満 |
標準値 |
15.6%以上16.5%未満 |
正常高値 |
16.5%以上18.3%未満 |
境界域 |
18.3%以上 |
糖尿病域 |
結果の判定には注意が必要です
グリコアルブミンは上記の表だけで判定できるとは限りません。グリコアルブミンの測定結果は肥満や薬剤、その他の病気によって影響を受けます。アルブミンの寿命は3週間~1か月程度と説明しましたが、これは一般的な期間です。実際のアルブミンの寿命は個人の様々な条件に影響されます。アルブミンの寿命が短くなる条件ではグリコアルブミンの検査値が低めになり、逆に寿命が長くなる条件では高めになります。下の表のように、肥満やステロイド薬の使用はアルブミンの寿命を短くさせる代表的な要因です。従ってグリコアルブミンの検査値は低めに出ますが、実際の値はもっと高いと考えるべきです。また、肝硬変はアルブミンの寿命が長くなる代表的な要因で、グリコアルブミンは高めにでます。ですから、グリコアルブミンの値から血糖の高低を判定するには医師の判断が必要になります。従って、献血の際の検査結果については医師と相談する必要があります。
アルブミンの寿命が短くなる要因 |
アルブミンの寿命が長くなる要因 |
肥満、メタボリックシンドローム、ステロイド薬の使用、ネフローゼ症候群(尿中に大量の蛋白質が漏れてしまう腎臓の病気)など |
肝硬変、甲状腺機能低下症など |
糖尿病の患者さんにも有用な検査です
多くの糖尿病患者さんはHbA1cを測定されていますが、グリコアルブミンも有用な検査です。HbA1cは先にも触れたように、この2~3か月間の血糖状況を知ることが出来ます。一方、グリコアルブミンは最近3週間~1か月間程度の血糖状況を反映しています。従って、糖尿病の治療を開始して急に血糖が良くなってきた場合、より早く変化するのはグリコアルブミンです。また食事療法や運動療法が中だるみになって血糖が悪化した場合も、より早く変化するのはグリコアルブミンです。つまりグリコアルブミンはHbA1cと比べて、血糖コントロールの変化をより早くキャッチすることが可能です。ということは血糖コントロールの変化により早く対処することができると考えられます。主治医の先生にとっては、患者さんの血糖が改善してくると、下がり過ぎないように薬剤を早めに減量したり、中だるみが早く分かれば早めに注意を促すことも可能です。
おわりに
グリコアルブミンは様々な要因で測定結果が影響されるため、糖尿病の診断には使えません。しかし、HbA1cよりも短い期間の血糖状況を反映するため、血糖コントロールの改善や悪化をより早くつかむことができる便利な検査項目です。グリコアルブミンは比較的新しい検査ですが、このような理由から今後は広く使われることになると思います。



